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第36話 騎士の誇り! 奪われたガンダムローズ




ドモン:ジョルジュ! こんな所に呼び出してなんのようだ?

ジョルジュ:明日のファイトを前に、一言ご挨拶をしておきたいと思いまして。

ドモン:デビルガンダムとの戦いより、俺と決着を付ける方が先。 その気持ちに変わりは無いか!

ジョルジュ:その通り! デビルガンダムの事は上層部に任せ、私はあなたを倒す事に全力を尽くす! 祖国に栄光をもたらす… それが今の私の役目です!

ドモン:うおっ! ううっ!

ジョルジュ:はっはっはっはっ! あなたとの決着を付けるために、ギアナ高地で編み出した、ローゼスハリケーン。  いかがです?

ドモン:何を言う! たかがビット攻撃!

ジョルジュ:ふふっ! それはあなたの左肩を見てから言ってもらいましょう!

ドモン:なにっ! おおっ! いつの間に…

ジョルジュ:ふふっ。 変幻自在のローゼスハリケーン。 狙えばあなたの首をも貫いていたでしょう。

ドモン:ふっ! わざわざ新しい必殺技のご披露か!

ジョルジュ:正々堂々闘うのがサンド家代々の誇り。 ファイトを楽しみにしていますよ、ドモン・カッシュ。

ドモン:待てっ! ジョルジュー!

ストーカー:さてみなさん。 本日のドモン・カッシュの対戦相手は、今ご覧になった通り。 ネオフランスは、ジョルジュ・ド・サンドのガンダムローズ。 ですが、祖国の栄光のために闘う騎士には、思いもかけない残酷な運命が待ち受けていたのです。 それでは! ガンダムファイト! レディーゴー!!



サブタイトルコール:騎士の誇り! 奪われたガンダムローズ



マリアルイゼ:あら! ジョルジュ・ド・サンド。 ちょうど今お茶をご一緒に… ジョルジュ?

レイモンド:ジョ、ジョルジュ様!

マリアルイゼ:レイモンド。 何があったのです?

レイモンド:それが、ついさっき元首様から連絡がありまして…

ジョルジュ:なぜです! ドモン・カッシュとの試合を放棄しろとは、どういう事です!

元首:ゴッドガンダムと闘えば、勝つにせよ、負けるにせよ、ガンダムローズの機体は損害を受ける。 それでは最終バトルロイヤルで優勝する事が難しくなる。

ジョルジュ:だからといって、敵に背を見せるなど、騎士にはあってはならぬ事!

元首:ジョルジュ! ガンダムファイトはスポーツでは無い。 勝った者が太陽系宇宙の覇権を握る、戦争の代替行為なのだ。 優勝するために退くべき時は退かねばならん。幸い、君は順当に勝ち星をあげている。 ここで、不戦敗したところで、バトルロイヤル進出に影響は無い。

ジョルジュ:納得できません! そんな事をして得た勝利に、なんの意味があるのです!

元首:話は終わりだ。 帰りたまえ。

ジョルジュ:閣下!

マリアルイゼ:ジョルジュ!

レイモンド:やはりお許しはでませんでしたか…… ジョルジュ様! お待ちください!

マリアルイゼ:ふぅーっ お父様!

ジョルジュ:ガンダムファイターは、国のために闘う戦士だ。 従わぬわけには行くまい。閣下の言われる事は、間違いではない。肝心なのは、優勝する事。そのためには、目先の一戦など!

レイモンド:ジョルジュ様……

ジョルジュ:うっ うおおおおおおおおおおおおおおおっ!

マリアルイゼ:お父様! ジョルジュのあの姿を見て、何もお感じにならないのですか!

元首:いくらお前の頼みでも、今の彼をゴッドガンダムと戦わせるわけには行かん。

マリアルイゼ:ジョルジュはこれまで、ずっとネオフランスのために戦ってきたのよ! こんな仕打ちはあんまりです!

元首:なんと言われようと私の考えは変わらん。

マリアルイゼ:お父様がそんな冷たい方とは思いませんでしたわ!

元首:ジョルジュよ、お前は確かに強い。 しかし私はその強さの中に、一抹の脆さを感じるのだ。

アレンビー:行くわよ、ドモーーン!

ドモン:これだ! この回転だ! この回転エネルギーを打ち破る事が出来れば……! ぐああああああっ!

レイン:アレンビー! 何やってるの!

アレンビー:ドモンから言い出したのよ。 ローゼスハリケーンを破るための特訓だって!

レイン:特訓!?

ドモン:ビットは、同時に多方向から攻撃をかける武器だ。そいつを見切るための特訓だ。

レイン:だからってこんな事してたら、ファイトの前に機体が傷付いちゃうわ!

ドモン:デビルガンダムと戦うためには、ジョルジュは絶対に必要な戦力だ! 奴を仲間にするためには、俺が全力であいつと戦わなければならないんだ! アレンビー、やってくれっ!

アレンビー:ほいさっ!

ドモン:うっ! うおおお……

レイン:全力で戦わなければならない……

(歓声)

アナウンサー:さてみなさま、ここ、クイーンズロードイーストリングでは、先日のチボデー・クロケット戦に続く、最高のカード、ネオジャパンのゴッドガンダムと、ネオフランス、ガンダムローズの決戦のゴングが鳴ろうとしています。

マスター・アジア:シャッフル同士の連戦とはあなたもなかなかやる。

ウォン:そう、今回はミケロ達にも手出しをひかえるよう言ってあります。 せっかくの好カードを台無しにしたくないですから。 ですが変ですね。肝心のガンダムローズはどうしたのでしょう。

ジョルジュ:ここを通せ!

警備員:うう……

ジョルジュ:私はガンダムローズに乗るんだ!

警備員:いけません!

警備員:閣下の命令です!

ジョルジュ:うあっ離せ! 頼む、邪魔をしないでくれ!

レイモンド:お願いです、ジョルジュ様をお通しして下さい! どうかジョルジュ様を……うおっ!おおっ……

マリアルイゼ:レイモンド…… はっジョルジュ!

ジョルジュ:闘技場ではドモンが待っているんだ! 頼む、私を闘わせてくれぇぇーっ!

元首:許さん! ジョルジュ・ド・サンド! お前は国家に逆らうつもりか!

ジョルジュ:うっ……

元首:私の命令に従えんのなら、ファイターの任を降ろし、国家反逆罪で処罰する事になるぞ!

ジョルジュ:国家…反逆罪……? うっ…… 私が、国家反逆罪……

マリアルイゼ:ジョルジュ!

レイモンド:うう……

マリアルイゼ:でも、これではあんまりですー!

ドモン:どうしたんだ、ジョルジュ……

アナウンサー:みなさま大変です! ただいまネオフランスより連絡が入り、ガンダムローズは、この試合を放棄するとの事です!

ウォン:おやおや、しらけさせてくれたものですね。

マスター・アジア:さあて、ワシにはこれからがおもしろくなると見えるがな。

ドモン:ジョルジュ…… 一体何があったんだ?

チンピラ(デブ):おーい、いてぇーなこの野郎! 兄ちゃん、人にぶつかっといてただですまそうとは思わねぇよな? チンピラ(メガネ):ちょいと治療代請求させてもらうぜ?

ジョルジュ:ふっ……

チンピラ(デブ):な、なんだこの野郎! おっ! うおおっ! おおっ!

チンピラ(メガネ):このっ!

ジョルジュ:ふっ!

チンピラ(メガネ):うおっ!

おばさん:うおっ!

観客:あああっ!

魚屋のおばさん:ちょいとあんた達、何してくれるんだよ!

チンピラ(メガネ):う、うるせぇーな! 文句あるならあいつに言えよ!

ジョルジュ:ガンダムローズ、教えてくれ。 私は今まで、卑怯な振る舞いをした事など一度もなかった。 それが私の、騎士としての誇りだった。 なのに……教えてくれ。 私はどうすればいい。 ガンダムローズ……はあっ! ガンダムローズ…… お前もか……

警備員:な、なんだ! うおおっ! うおおおおっ! ガ、ガンダムロ−ズが!


(アイキャッチ)


ドモン:ガンダムローズが盗まれた?

マリアルイゼ:どうやら犯人は、ジョルジュらしいのです。

アレンビー:わおっ! 思い切った事したわねー。

レイモンド:お願いします! どうか、ジョルジュ様を探すのに、皆様のお力添えをと……

レイン:わかりました。 手分けして、心当たりを探しましょう。

ドモン:ふっ、いや、その必要は無い。

レイン:ドモン!

アレンビー:どうしたのよ! 手伝ってあげてもいいんじゃない……

ドモン:出て来い! ジョルジュ!

レイン&アレンビー:ええっ!?

レイモンド:おおっ!

レイン:ああっ……

ドモン:やはり来たか……

ジョルジュ:全てお見通し……ですか。

ドモン:うっ……う……

ジョルジュ:ドモン・カッシュ! あなたに決闘を申し込みます!

ドモン:決闘?

ジョルジュ:そう、ネオフランス代表としてではなく、ジョルジュ・ド・サンド、個人として闘いを申し込むのです!

レイモンド:ジョルジュ様! 何をおおせられます!

マリアルイゼ:今からでも遅くありません! ガンダムを返して、お父様に謝るのです!

ジョルジュ:口出しは無用です!

マリアルイゼ&レイモンド:ああっ……

マリアルイゼ:今度は、国家反逆罪なのですよ? そうしたら、サンド家は断絶!それでもいいのですか! ジョルジュ!

ジョルジュ:ふっ、そうだ…… 考えてみれば、私の戦いは、いつも祖国のため、サンド家のため、そして……あなたのためだった!

マリアルイゼ:はっ……ジョルジュ……

ジョルジュ:しかし、今度ばかりは、ただ己のために戦いたい!

マリアルイゼ:うう……

ドモン:ジョルジュ……

ジョルジュ:夜の明ける前、北の丘で待っています。

ドモン:しかし、闘えば自分がどうなるのかわかっているのか!

ジョルジュ:お待ちしています。

ドモン:待てっ! ジョルジュ! ジョルジュ…… なぜお前は……

シュバルツ:さあどうするドモン・カッシュ。 ジョルジュ・ド・サンドの全てを投げ打つ熱き思い。 お前はどう受け止める? キング・オブ・ハート!

ウォン:ガンダムローズが盗まれた?

男:はい、ネオフランス当局は、秘密裏に捜査をしている模様です。

ウォン:なるほど、そういう事か。 東方先生に報告しろ。 おっしゃられたとおり、面白くなってきたようですとな。ふっふっ……

ジョルジュ:やはり来てくれましたね。 ドモン・カッシュ。

ドモン:ああ、一体何が、お前にこうまでさせるのか、知りたくてな。

ジョルジュ:そんな事は、今はどうでもいい事! さあ、日の出を合図にファイト!いや決闘を!

ドモン:よかろう!

ジョルジュ:でやぁぁぁぁぁっ!

ドモン:とぅおおおおおおおっ!

マリアルイゼ:ジョルジュ…… はっ!

元首:いかん、始まっておるぞ! 急げ、なんとしても止めるんだ! おおっ!

アレンビー:こっから先は、通行止めよ。

元首:何を言う! よその国には関係無いことだ!

アレンビー:せっかくいいファイトしてんだから、最後までやらせてあげてよ!

元首:ううっ……ええい!

アレンビー:あっこら! 待って!

元首:やめろ! 戦いを止めるんだ!

マリアルイゼ:お父様、なぜここに?

元首:ガンダムローズが消えた時、すぐにゴッドガンダムをマークさせたのだ! ただちに闘いをやめたまえ!

ジョルジュ:それはできません!

元首:なにいっ!

ジョルジュ:この闘いは私だけのもの。 たとえ処罰されようと、私は最後まで闘う!

元首:ムッシュ・ドモン! そなたにとっても、こんな闘いは無意味のはず! 手を引いてもらいたい!

ドモン:せっかくだが、俺も今さら降りるわけにはいかないんだ!

ジョルジュ:ドモン!

ドモン:意味があるか無いかは俺たちが決める! 引っ込んでてもらおう!

元首:いかんジョルジュ! ネオフランスは、お前を失うわけにはゆかんのだ!

マリアルイゼ:お願いお父様。ジョルジュを闘わせてあげて!

元首:彼が罪に問われてもよいというのか!

マリアルイゼ:それがあの人の望みなら、私はただ見届けてあげるだけです!

元首:おお……

ドモン:ジョルジュゥ!

ジョルジュ:ドモン・カッシュ! そろそろ決着を付けましょう! ゆけ、ローゼスハリケェェェェン! とどめだぁぁぁっ!

ドモン:うおおっ! うおおおおおおっ!

レイン:す、すごい攻撃…… ビットは操縦者の精神に感応する武器。 あのパワーは、ジョルジュ・ド・サンドの気迫そのものなのね!

ドモン:ええっ! ふんっ! ううっ! とぅらああっ!

ジョルジュ:一つや二つのビットを破壊したところで、このエネルギーの渦から逃れる事は不可能!

ドモン:ふっなんの……あの特訓は伊達じゃない!

レイン:ドモンが動きを止めた?

ジョルジュ:ついに諦めたのか? なにっ!

ドモン:行くぞジョルジュ…… ひぃぃぃっさつっ! ゴッドスラッシュゥゥ…… タイフゥゥゥゥン!

ジョルジュ:ゴッドガンダムが、大回転!? まさか!

ドモン:ヒィィィィト、エンドッ!

ジョルジュ:うあああああっ!

レイン:す、すごい!

アレンビー:やったね、ドモン!

ジョルジュ:う……そうか…… ビットと同じく回転させた、ゴッドスラッシュのエネルギーで、内側から全て弾き飛ばすとは……!

ドモン:ローゼスハリケェェェン、敗れたり!

ジョルジュ:しかし私は負けない! ゆくぞ、ガンダムロォォォォズ!

マリアルイゼ:ジョルジュ!

元首:待て!

マリアルイゼ:お父様。

元首:まだ彼はやる気だ!

マリアルイゼ:ええ?

ジョルジュ:うあああああああっ!

ドモン:てああああああっ!

★ジョルジュ:どぅあああああああっ!

★ドモン:どぅおおおおおおおっ!

ドモン:うおおおおっ! とうああっ!

ジョルジュ:うっ! りゃああっ!

ドモン:ぐおおおっ! らあっ!

ジョルジュ:おおう!

ドモン:ええい、もらったぁぁぁぁ!

ジョルジュ:うあああっ! ううっ、どうした! 闘いはまだ、終わっていないぞぉぉ!

ドモン:なんて気迫だ! 今までのジョルジュとはまるでちがう!

レイモンド:いつもは華麗な戦い振りを誇るジョルジュ様が! あんなお姿に!

元首:こ、これだ! 私はお前に、この気迫を望んでいたのだ!

マリアルイゼ:ジョルジュ……

ジョルジュ:ドモン・カッシュ! 最後の勝負!

ドモン:よかろう…… 受けて立ってやる! 俺のこの手が、真っ赤に燃えるぅ!

ジョルジュ:勝利を掴めと! 轟き叫ぶ!

ドモン:ばぁぁぁぁくねつっ! ゴッドォォ! フィンガァァァァァァァァァッ!

ジョルジュ:ドモォォォォォン!

ドモン:ジョォォォルジュゥゥゥ!

ジョルジュ:うあああああああっ!

マリアルイゼ:ジョルジュ!

ジョルジュ:さすがです、キング・オブ・ハート、ドモン・カッシュ。 私の完敗です。 ですが、これでどのような処罰も満足して受ける事ができます。

元首:いや、その必要は無い。

ジョルジュ:ええっ? 閣下!

元首:ジョルジュ! 見せてもらったぞ。お前の戦士としての本当の素質を。

ジョルジュ:ええ?

元首:全てを捨てて、心の底より闘いを求めるその姿。 今のお前ならば、私は試合を放棄などさせなかっただろう。 ジョルジュ:で、では!

元首:ここで、ガンダムからお前を降ろすわけにはいかん。お前は今こそ、ネオフランスを代表するファイターとなったのだからな!

マリアルイゼ:お父様、ありがとう。

ジョルジュ:ドモン・カッシュ。どうやらあなたと共に、デビルガンダムと戦う事ができそうです。

ドモン:ああ、だが大変なのはこれからだぞ……

ジョルジュ:ただし、デビルガンダムの脅威が消えた暁には、最終バトルロイヤルで、今度こそあなたを倒します! いいですね?

ドモン:ああ! 何度でも来い。

シュバルツ:武闘家とは拳をかわし合って初めて本当に分かり合えるもの。 東方不敗マスター・アジア! お前はこの闘いをどう見た!

マスター・アジア:ううん……ミスター・ウォン。 あなたの仕組んだこのシャッフル同士の闘い、我々にとって思わぬ裏目に出なければよいのだが……

ウォン:ふん……それは考えすぎと言うもの。 それに次は、クラブ・エースドラゴンガンダムのサイ・サイシー。 より楽しいものになりそうですね。

マスター・アジア:いや、その闘い、今までの中で、もっとも壮絶な闘いとなるであろう。 ワシはそう見るぞ? ドモン・カッシュ。



(次回予告)


みなさんおまちかねーっ! 偶然手にした一通の手紙によって、執念の戦士へと変身したサイ・サイシー。 彼は命を捨てる覚悟で、ドモンに最後のファイトを挑み、ついに、少林寺最高奥義を繰り出すのです! 機動武闘伝Gガンダム!「真・流星胡蝶剣! 燃えよドラゴンガンダム」にぃー! レディィィ…ゴー!


第37話「真・流星胡蝶剣! 燃えよドラゴンガンダム」へ

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