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第9話 強敵! 英雄チャップマンの挑戦




ジョルジュ:どぅあっ… どこだ! どこから来る! ゆけっ! ローゼスビット! しまった…またダミーか! うああああ! うう卑怯な…霧に紛れて伏兵をしのばしておくとは…

チャップマン:どうした? もう終わりか。 闘いとは非情なものだ。 勝つ者がいれば必ず負ける者もいる。

ジョルジュ:くぅ…

チャップマン:さらばだ…

ドモン:嫌な音だ…

ストーカー:さて、ドモン・カッシュはある一人のガンダムファイターを尋ねて、ここ霧の町ロンドンへとやってきました。 ですが、その相手とはなんと、ネオイングランドのジョンブルガンダムを3度も優勝させたガンダムファイト史上最強の男、ジェントル・チャップマンだったのです。果たしてドモンは彼に打ち勝ち、デビルガンダムと共に地球に落ちた兄キョウジの手がかりをつかむ事ができるのでしょうか。 それでは! ガンダムファイト! レディーゴー!!



サブタイトルコール:強敵! 英雄チャップマンの挑戦



チャップマン:スリーカード…

見物人:おおおおおお!! またチャップマンの勝ちだ。

ドモン:チャップマンだな… 男をさがしている。

チャップマン:すまないが今は勝負で忙しい… 後にしてくれ…

ドモン:なら俺と勝負してもらおうか。ただし、俺が勝ったらあんたの知っている事をあらいざらい話すという条件でね…

チャップマン:お前が負けたら?

ドモン:男は負けた時の事は考えないもんだろ?

チャップマン:はっはっはっいいだろう。

マノン:コール!

ドモン:エースのスリーカード…

見物人:おおおおっ!

チャップマン:ふっ フルハウス…

見物人:おおおおおっ!!

チャップマン:残念だったな。勝つ者がいれば負ける者もいる。勝負の世界とはこういうものだ。

ドモン:さすがだな… だが!!

マノン:うっ…ああ!

ドモン:らしくないじゃないか。こんなイカサマ、ガンダムファイトじゃ通用しないぜ!

レイン:ちょっと通して! 通してったら! あっド、ドモン。 えっ…ええっ…

チャップマン:あっはっはっはっはっはっはっ… はっはっはっ いい目をしているな… 名前は?

ドモン:ドモン・カッシュ… お前を倒しにきたガンダアムファイターだ。 ふっどうせならガンダムで勝負してもらいたいんだけどな。

チャップマン:ふっはっはっ… ふっはっはっはっはっはっはっは…

執事:今夜はこちらでお休みください。

レイン:驚いた。てっきり牢屋かなんかに入れられると思っていたのに。

執事:ごゆっくり…

レイン:ああ… このチャップマンって、何度も優勝した事のある、すごい人なんでしょ?

ドモン:ああ…

レイン:まったくそんな人にケンカを売るなんて無茶はコックピットの中だけにしてよね。

ドモン:ああ…

レイン:よぉし。 約束破ったら絶交よ。

ドモン:誰だ! お前はネオフランスのジョルジュ・ド・サンド!

ジョルジュ:お久し…ぶりです。 みっともない所を…見せてしまいましたね…

ドモン:お前ほどの男がここまでひどくやられるとはな… しかしネオイングランドのチャップマンと言えば百戦錬磨のベテランファイターだ…

ジョルジュ:ええ… 彼の戦いぶりなら私も知っています。どんな時にも正々堂々、王者としての貫禄を見せ付ける彼のファイティングスタイルは、騎士の私にも目標であり、理想でした。でも今の彼は違う! チャップマンは、悪魔に魂を売り渡したんです。

ドモン:どういう事だ?

ジョルジュ:あの時、彼は1対1のガンダムファイト国際条約を破り、いくつものダミーを使い、私を追い込み、疲れさせ、そこを狙ってきたのです…

ドモン:ばかな…チャップマンはそんな陰湿な手を使うガンダムファイターじゃないだろ?

ジョルジュ:それはもう昔の話です。今のチャップマンは、手段を選ばず、残忍に獲物を追い詰める、血に飢えた野獣です!

ドモン:血に飢えた野獣…

ジョルジュ:そして問題はもうひとつ、彼の放った弾は私のほおをかすめただけで、彼は苦しむように霧の中へと消えていったのです。あの様子はきっと、きっとチャップマンは…

ドモン:おいどうした! チャップマンがどうした!

レイン:待って! 休ませないと…

チャップマン:ズ… ううう… ううう… はぁ…

マノン:かなり量が増えていますわ…もうおやめになった方がいいのではありませんか?

チャップマン:大丈夫だ… 心配ない… この大会が終わったら火星へ行こう。あそこはここよりも温暖で、だいぶすごしやすくなっているらしいぞ。

マノン:そうね… ね…あの子。

チャップマン:ネオジャパンのファイターの事か?

マノン:ええ。 午後のパーティーに誘ってもいいかしら?

チャップマン:気に入ったのか?

マノン:あなたにそっくり… 特にこのブラウンがかったするどい目付きが…

チャップマン:好きにしろ…

マノン:んふっ…あなただって気に入っているのでしょう?

チャップマン:さあな。それにしてもあんな小僧がガンダム乗りとはおもしろい時代になったものだな…

レイン:本当に行くの?

ドモン:せっかくのご招待だ… 受けるのが礼儀ってもんだろ?

レイン:罠かも知れないわよ?

ドモン:だったらなおさらだ… ジョルジュが言っていた事も、確かめなきゃならないしな…

レイン:あっなにかしらあれ… いい香り… あっ…

チャップマン:どおした飲まないのかね…

マノン:ウェールズのものだけど、それとも玉露の方が良かったかしら?

ドモン:あいにく、人に親切にされるのが苦手でね…

チャップマン:安心したまえ。別に毒など入っておらんよ。

ドモン:のんきに茶なんか飲んでられるか! 俺はファイトさえしてくれればそれでいい!

チャップマン:ファイト…ふっふっふっ… どいつもこいつもファイトファイトファイト…

ドモン:なにがおかしい…

チャップマン:若いってのはいいものだな…

レイン:ん!?

チャップマン:自分の可能性だけを信じてつっぱしる事ができる… 小僧… だがそれは過信というものだ。 上には上がいるという事を悟った時にはもはや手遅れになる…

ドモン:なぁにぃぃ…

レイン:あっ… あのすみません… お手洗いを… あ…ごめんなさい。

マノン:大丈夫?

レイン:え…ええ!

マノン:まっすぐいって左よ…

チャップマン:そんなに闘いたいか… なんのためだ? 私を倒して新たな英雄になりたいのか? 私を倒せるとでも思っているのか? 過去三回に渡って王座を守り抜いたこのチャップマンを!

ドモン:そのプライドがあった時のあんたならわからなかったさ… でも今は違う… 過去の栄光にしがみついているだけの男なら、絶対に負けない。

チャップマン:なに!?

ドモン:いったはずだぜ! 俺はお前を倒しに来た男だと… ちい… はぁぁ…


(アイキャッチ)


レイン:やっぱり精神強化剤だわ… はっ! これは無人のモビルスーツ… ジョルジュの言った通りだわ!! ううっ…

チャップマン:わかるだろ? 実力の差って奴が… 今私の銃はお前の心臓をぶち抜く事だってできるんだぞ?

ドモン:前にも言ったはずだぜ… 男は負けた時の事は考えないもんだってな…

チャップマン:死に急ぐなよ… 小僧! ううっ! まさか! もう薬が切れて…ううっ…

マノン:あっあなた!

チャップマン:貴様ぁ… その若さならファイト以外にも進む道がまだあるのにな… マノン!

マノン:はい。 あなた…

チャップマン:よろしい。貴様の挑戦受けてやる。ガンダムファイトだ!

ドモン:のぞむところだ!

チャップマン:ならばついて来い! ドモン・カッシュ!

ドモン:ガンダァァァァァァム!! はぁぁぁ… ふぅん!!てぇぇ…!たぁぁ!はっ!うぉぉぉぉ…ぬぅぅぅぅん… てぇいっ!! とぅああ…… はぁっ!!

チャップマン:小僧が… 闘いのなんたるかをみっちりと叩き込んでやる!

ドモン:さあ行くぞ! 元チャンピオン!

チャップマン:ガンダムファイトォォ!

ドモン:レディィィ…ゴー!!

レイン:あっ…

マノン:気が付いたようね…

レイン:あっ

マノン:ごめんなさい… 手荒なマネをして。でもこうするしかなかったの… 女の私にはね…

ドモン:どうした…チャップマン!

チャップマン:やるな…小僧!

マノン:モビルスーツ隊発進。煙幕装置作動。

ドモン:なにっ! なっ…なんだ!この霧は! あっ… く…くそっ… メインカメラだけじゃない…この霧は、レーダーも赤外線モニターも、すべていかれさせちまった!

レイン:マノンさんあなた!

マノン:聞いてちょうだい… あの人の身体は、度重なる戦いですでにボロボロなのよ! でも一度体に染み付いた硝煙の匂いをぬぐいさる事はできないわ。 それだから… あの人は最後の一瞬までガンダムファイトする事を求めているのよ…あの薬もそのため!

チャップマン:はっはっはっはっはっ… 青いな… 視覚を奪われた程度でとまどうとは…そんな事では私の影をとらえる事すらできんぞっ!

ドモン:おちつけ…ドモン! 条件は同じはずだ! そこかぁ! とぅぇぇぇぇ… 違う!? ジョンブルガンダムじゃない!! ええい… うおおお! 卑怯者め! 霧に乗じて! 多勢に無勢でなぶり殺しか! おちたな! チャップマン! 男なら正々堂々と勝負しろ!

チャップマン:小僧がしたれ顔で説教をたれおって… 私だってだてにガンダムファイトに舞い戻ってきたわけではない!

ドモン:どぅおおあ!! ふぅぅ…!! くぅ…ば、ばかな! 条件は同じはずなのに! どうしてチャップマンには見えるんだ!

マノン:男は勝手だわ… 好きな時に命を懸け、惜しげもなく捨てる事を美しいと思い込んでる。

レイン:ええっ…

マノン:でもね! 私は決めたの…あの人の決めた通りについていってあげようと!

レイン:マノンさん…

ドモン:なんて正確な射撃なんだ。 これがチャップマンの実力なのか…? はあっ! ええーい…まだいたのか! ううーん… ジョルジュ!

ジョルジュ:チャップマンは精神強化剤を使っています! だから、こんな霧の中でも相手の動きをキャッチできるんです!

ドモン:ばかな! そんな薬を使ってまで!

ジョルジュ:雑魚は私にまかせて! 早くチャップマンを止めてください! ほおっておくと、副作用で廃人になってしまいます!

ドモン:よぉぉし!

チャップマン:ううう…

ドモン:出て来い!チャップマン! 俺は逃げも隠れもしないぞ!

チャップマン:闘いとは非情なものだ。 強い者だけが生き残り、力及ばぬ者は… ドロに紛れる!

ドモン:くぅ… まだまだ!

チャップマン:だがな… 民衆は無敵の英雄を求めるのだ! 私は常に英雄でなければならないのだよ!

レイン:だからって! だからってここまでしなくちゃいけなかったんですか!? 薬で体をごまかして、人工の霧の中に援護のモビルスーツまで配置して!

マノン:なにもしらないわ… チャップマンは…

レイン:えっ…

マノン:あっ… あの人には最後まで、チャンピオンでいて欲しいのよ…

レイン:マノンさん…

ドモン:はぁぁぁぁ… はっ!

チャップマン:戦士とは…強くなればなるほど、その修羅の道から抜けられなくなるものなのだよ!

ドモン:うう…しまった! ああ…

チャップマン:頭を打ち抜かれたら終わりだったな… さあこれが最後のチャンスだ! 降りるなら今だぞドモン・カッシュ!

ドモン:くぅ…ああっ!

チャップマン:くぅ… う…う… うう… く…薬が薬が…

ドモン:チャップマン…

チャップマン:ば、ばかものぉー!! ぐおおー! 小僧、何をしている…

ドモン:しかし!

チャップマン:だから… だから甘いというのだ! 討て! 討て! さぁ…貴様が本当の戦士なら私を討てー!! 貴様にも闘う目的があるだろうが!

ドモン:はあっ…

チャップマン:さあっ討てぇぇ!!

ドモン:うおおおお…

マノン:はああああ!! ああっ…

チャップマン:そうだ… それでいい…

ドモン:くうぅ…

マノン:あなた…

チャップマン:どうやら時代は… 確実に流れているらしいな…すまん… 火星に行く約束は果たせんようだ…

マノン:いいえ…あなたが満足の行く戦いができたのなら…

チャップマン:お前の影の力添えが無ければ、こうはいかなかったさ…

マノン:ええっ… うっ…

チャップマン:ありがとう…マノン…

マノン:あやまる事は無いわ… なにもかも覚悟していた事なのよ… この人と出会った時から… そう、よぉぉく見ておくのね。あなた達もいずれこうなるかもしれない…

ドモン:戦士の運命…

マノン:でも、それを避けるのも、あなた達次第よ。



(次回予告)


みなさんおまちかねーっ! ネオエジプトに来たドモンとサイ・サイシーの前に、世にも恐ろしいミイラ男が現れ、大昔のガンダムに乗って、襲い掛かってきます。そしてドモンはついに、デビルガンダムの手がかりをつかむのです。 機動武闘伝Gガンダム!「恐怖! 亡霊ファイター出現」にぃー! レディィィ…ゴー!


第10話「恐怖! 亡霊ファイター出現」へ

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